2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

綿

いま助けてくれと叫んでも、その声は誰にも届かないだろう、なぜなら細く弱った喉にいっぱいの白い綿、綿みたいな白い憂鬱を、気道がかんぜんにふさがるまでぎゅうぎゅうにつめこんでいるからで、ある瞬間ぼくはふと我にかえり、息ができん苦しいなどと、ぐ…

植物の茎

よくわからないけどたぶん僕の感情の表面部分にはちょうど植物の茎の皮のようにすこしぶ厚くて緑色の防御壁があるのだと思う。それが剥けて感情のとろとろした中身がさらけ出されるとなんかもうだめ、どんな弱い刺激でも死にそうになるほど落ち込んでしまう…

ひとり暮らしの歌たち

ひとり暮らしをしていたときに作った曲を大声で歌っていたら、なんだか懐かしい気持ちになってきた。僕は4月末まで期間限定で姉の部屋を借りてひとり暮らしをしていた。23歳にしてはじめてひとりで生活をしたので、いろいろ困難とかもあったが(そういえ…

ゴールデンウィーク

さいきんものすごいいきおいでいろんな物語を呑み込んでいる。毎日毎日体内にとり込まれるそれらは胃のそこにどすんどすんともとのすがたのまま落ちていって、そのまま数日経っても消化されずにすこしずつ白くにごった澱のようなものへと変化していく。それ…

テンペスト

日ごろの研究の延長としてちょっと思うところがあって、シェイクスピアの『テンペスト』を読んでみた。僕は浅学なのでなかなか戯曲を手にとる機会なんてないから、わりと新鮮で記憶に残る読書だった。読んだのはちくま文庫の松岡和子訳。注が詳しくてよかっ…

躊躇い

いまのところ、僕の人生をもっとも強く規定する力は「躊躇い」だ、と思う。躊躇いは声を出すこと、手を伸ばすこと、その他もろもろの働きかけを阻害する。地味でいじわるな悪魔。僕は躊躇っているときの自分がすごく嫌いだ。ちいさくてたよりない。どうして…

運動のうちに

「われわれの本性は運動のうちにある。完全な静止は死である。」(ブレーズ・パスカル)おそらく君も僕も、この2週間くらいのあいだに、たとえ自分自身ではわからなくても、決定的に、どこかしらが変わってしまったんだろうな、と思う。

同人雑誌の妄想話

この前、ともだち3人と新宿で飲んだときに、「もし俺たち4人が同人雑誌をつくるならどんな感じにしたい?」って話をした。「いやもちろんあくまで『もしも』の話だぜ、だからべつに真剣に考えなくてもいいんだけど」僕たちはひとりずつコンセプトを言いあ…

やきもち

あまりよくは知らないけれどそれなりの好意を抱いているていどの個人から他人や特定の物事についての話をされると、僕たちは困ったことに妙な嫉妬や羨望を抱いてしまう。「ああこの人は自分のあずかり知らぬところでさまざまな関係性をつくっているのだなあ…