綿


いま助けてくれと叫んでも、その声は誰にも届かないだろう、なぜなら細く弱った喉にいっぱいの白い綿、綿みたいな白い憂鬱を、気道がかんぜんにふさがるまでぎゅうぎゅうにつめこんでいるからで、ある瞬間ぼくはふと我にかえり、息ができん苦しいなどと、ぐうぐうもがきだす、しかし当然のようにして、そのときもしっかりとエゴティストだ。救われないまま報われないまま、最期まで自分のことしか考えられないまま、で、縊死。

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