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若い男たち


およそ僕のような若い男たちはみんな同じようにくだらない。優しさはけっきょく薄っぺらで、嘘ばかりついて、へらへらへらへら、どうせすぐ逃げ出すくせに、体裁だけは整えてて、見栄っぱりなところが透けてみえるのが大嫌い。だいたい僕たちには誠実さがない。誠実さがないということは男らしくないということで、だから僕たちはみんな同じようにくだらない。逃げるな。ちゃんと向き合え。死ね。


湖のほとりでは時間がゆるやかに流れていく。


僕は僕みたいなしょうもない男たちが女の子にべたべたしゃべっているのをみると殺してやりたくなる。彼女は「返事して」と言い、若い男は「ごめん、忙しくてさ」とこたえる。そのとき彼の頭によぎるのはかすかな後ろめたさと、めんどくせえを覆い隠したい衝動。僕は自分がほんとうは薄っぺらな俗物にすぎないなんてことをできれば意識していたくないという防衛本能に身を任せるのに忙しくて、君なんかには構ってられないんだよねえ。だって飽きたら終わりだよそんなのぜんぶ。そして僕たちはみんな同じように飽き性なのだ。


嘘つき。


「お前さあ、毎回毎回、おんなじことの繰りかえしじゃねえか」と友達は言う。


芦ノ湖を船で渡った。まわりを歩いているぶんにはぽかぽかとあたたかかったのだが、湖上を吹きぬける風は、たっぷりとした水のせいだろうか、氷のようにひんやりと冷たい。このままだと凍えて風邪をひきかねないな、と思って、船内にもどると、人びとがガラス越しに休日の景色を楽しんでいて、僕はついビールがのみたくなってしまった。

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